「いい会社をつくりましょう」「年輪経営」という2冊の本

「いい会社をつくりましょう」「年輪経営」という2冊の本を読んだ。どちらも、伊那食品工業(株) 代表取締役会長 塚越寛(つかこし ひろし)氏著である。本については自分が評することはできないが、この企業は本のタイトルの1つでもある「年輪経営」という考え方を持っている。というとどいうことなのかというと、「会社の成長は社員の成長とともにある」ということ。つまり、急上昇の右肩上がり、儲けるときにしこたま儲けるといったようなイケイケ経営ではなく、1年1年木が年輪を重ねるように少しづづ大きく強くなっていくということだ。その為には、社員の成長が先にあり、それに見合う仕事を受け入れていくということにつながる。その結果、売上げも前年より上がるということになる。確かに、急上昇するとどこかに歪が生じる。生産・供給が追いつかない、教育が追いつかない、サービスが追いつかない。そうなるといろんな意味で品質が落ち信頼が急降下する。長くゆっくりと成長していくことは難しいですね。もちろん、社員が成長していくには、企業は教育やスキルアップの為の勉強などをサポートしていかなければならないのだろう。話は変わるが、伊那食品工業(株)の社員のモラルついても、面白いと思えることがいくつか記されていた。1つは、車で出勤される方は会社の付近の交差点では基本的に右折をせず、左折をしながら会社へ入るそうだ。なぜかとうと、出勤時に右折をするとどうしても、渋滞を引き起こす為、社員以外にその道を通る方に迷惑をかけることになるからなんだとか。2つ目は、スーパーなどで買物をするときは、お店から一番遠い駐車スペースに車を駐車するんだとか。小さなお子様連れのお母さんや、ご年配の方に近い場所を使ってもらうという意味だそうである。考えると当たり前のような気がするが、私自身もそうだができれば一番近いところに止めたいのが本音。地域を大切にする会社の姿勢がとても素敵だと感じます。そして、この会社は創業以来48年連続の増収・増員・増益という。増収・増益はよく聞くが、増員という社員も増やしつつのこの偉業はすごいと評価するしか他ない。やはり、モラルというのはとても大切なことなのかもしれない。著者の塚越寛氏は二宮尊徳の言葉をとても大事にされているので、最後に紹介したいと思う。

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遠くをはかる者は富み

近くをはかる者は貧す

それ遠きをはかる者は百年のために杉苗を植う。

ましてや春まきて秋実る物においてをや。

故に富ありなり。

近くをはかる者は

春植えて秋実る物をも尚遠しとして植えず

唯眼前(ただがんぜん)の利に迷うてまかずして取り

植えずして刈り取る事のみ眼につく。

故に貧窮(ひんきゅう)す。

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目先の利益ばかりを考えず。種をまき、水をやり、肥料をやり、手塩にかけて育てよう。そうすれば、甘く大きな実りを得ることができる…かも。

できるかな~。

ともあれ「二宮尊徳」という人物、銅像になるだけのことはある。ただ者ではない。

専務取締役 大島秀紀

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