ホスピタリティ(hospitality)と一期一会

サービスの手帳「サービスの手帳(著・林田正光:元リッツカールトン支配人)」という本を読んだ。タイトルを知っていたわけではなく、書店に立ち寄ったときに、その表紙のデザインがとてもいい雰囲気だったので、手にとって少し立ち読みをしてみた。基本的なことをわかりやすく書かれてある感じがしたので即購入。文字も大きくとても読みやすかった。

それはさておき、著書の最初に出てくるホスピタリティhospitalityという言葉は、全ての仕事の根幹に位置する考え方ともいえる。意味を調べると「訪問者(お客様)を丁重にもてなす」こととある。ホテルなどの宿泊施設などでは、心地よい最善のおもてなしをすることでお客様との信頼関係を築いていく。いいサービスをうけたときに、また利用しようとおもうのは確かである。そこには、値段にはかえられないなにかがあるような気がする。著書の中には「ハードのサービスより、ハートのサービスを」という項目がある。その中に「人の手によるあたたかみのあるサービスから生まれた感動は長い間、お客様の心に残ります。」とある。まったく同じ商品であれば、安い方がいいのかもしれないが、人が関わることがほんの少しでも必要な仕事には、この会社・このお店・そしてこの人からサービスを受けようと思われる存在になりたいものです。お客様の心を解きほぐし、またお越しいただけるような信頼関係を築いていこう。

茶道の世界に「一期一会」という有名な言葉がある。出会いとその機会は一生に一度かもしれない。そして、その時その時を最善のサービス・ホスピタリティをもって対応しよう。

言うは易し。簡単ではありませんね。

専務取締役 大島秀紀

かもめ食堂 BOOK&DVD

かもめ食堂DVDかもめ食堂BOOKずっと前から気になっていた「かもめ食堂(著・群ようこ)」を読んでみた。北欧フィンランドの首都ヘルシンキで日本人女性3人が営む食堂を舞台にストーリーが展開していく、ちょっとゆる~い感じの物語である。内容についてはともかく、その時間の流れのゆっくり感にとても好感を覚えた。そうなると、映像でもみてみようとDVDをレンタル。ほぼ、原作どおりのストーリー展開で、時間の流れがとても心地よく感じられた。スピードがとても重要な今の時代に、なかなかこの時間のゆるやかさは許されないような気もするが、今だからこそ必要だとも思える。不況による失業やストレスで自殺者も多いと聞く。現実に背を向けて逃避するのは良くないと思うが、一度立ち止まっていろいろなことを見つめなおすということはとても大切だと感じる。北欧というと今は北欧デザインが注目され、特に家具をはじめとしたインテリアにおいては、雑誌などでも多く特集されています。素材やカラーなどいろいろな面で、奇抜でなく自然・ナチュラルな人にやさしい雰囲気を感じます。環境や福祉といった面でも北欧は一歩先を進んでいるようなイメージがあります。15年ほど前に富山県高岡市が主催していた、「青年の翼」という2週間ほど海外に滞在して見聞や友好を深める研修に参加したことがあり、その時はイギリスとスウェーデンを訪れた。イギリスではカンタベリーという田舎にホームステイをして、家族に港のマーケットに連れて行ってもらったりして日本では体験できない素敵な思い出を作ることができた。一方、スウェーデンでは、ストックホルム庁舎やウプサラ大学、福祉施設などを訪ねた。庁舎ではノーベル賞の表彰が行われる場所を拝見させていただき、福祉施設では、日本でいうところのグループホームというものをはじめて見させていただいた。その頃は、日本というと、老人ホームという名のもとに、施設に放り込むような姥捨て山的マイナスイメージがあったが、スウェーデンの福祉施設では、生活している老人がとても生き生きとしているように感じられた。環境については、スウェーデンを訪問した時は、ガイドの方のお話では「飲めるくらいに海が美しく生まれ変わりました。」と説明されていた。それ以前は、そうとう汚染されていたようで、ストックホルムという都市だけではなく国・地方が大きな方向転換をし、国民が将来の為に協力を惜しまなかったということだろう。国や地方がビジョンを掲げ、国民の理解と協力を得てはじめて、大きな改善や進化があるのたど感じます。今はいろいろなことが大きく転換しようとしているように感じます。企業としても大きく舵を切り、みんなで協力しながらいい風をつかみたいものです。

ちなみに、かもめ食堂の主人公「サチエ」は宝くじが当たったそうである。運も実力のうち…。フィクション、フィクション。

専務取締役 大島秀紀