5本の樹・小さな自然

先日、富山市内で開催された「生物多様性とビジネスチャンス(主催:環境省)」という講演会を聴講してきました。専門家の先生の講演と北陸電力、アサヒビール、積水ハウスの大手の取り組み事例の発表に加え、その後、講師と企業の担当者とのパネルディスカッション。なかなか地方の中小企業が具体的に参考になるところを見つけ出すのは難しいかなぁ~という感しでしたが、自分なりにこれならすぐにでも取り組めそうだと思った話が1つ。生物多様性の保全を目的として積水ハウスさんが取り組んでいる「5本の樹」計画というプロジェクト。何かというと、家を建てる際に「3本は鳥のために」「2本は蝶のために」をテーマし、地域の自生種・在来種にこだわり、5本の木を庭に植えることを提案しているのだそうだ。鳥が来たり、虫が来たり面倒だと思う人もいるかもしれないが、小鳥のさえずりや、綺麗な蝶が庭を飛び交う姿は自然なことだと思うのは私だけではないと思う。鳥が来ることでメリットもある。これまでは、毛虫や青虫などは農薬を散布することで駆除していたが、庭に上手に木を植えることで、その害虫を飛来する鳥が食べてくれるのだそうだ。農薬を散布しないことで、木の健康も保て、当然そこで生活する人も安全ということになる。もちろん、生き物がそこで安全に活動できるのだから、生物多様性の保全にもつながっている。また、植える木を外来種や園芸用に品種改良されたものではなく、地域の自生種・在来種を提案しているのにも意味があり、「単に緑を植える」ということだけでなく、地域に適した木を植えることでそこに鳥や蝶が集まる「小さな自然」が生まれるのだとか。なんだかちょっと素敵ですね。もう少し広い目でみれば、地域全体に鳥が渡り歩く木が多ければ多いほど、そこには鳥を含めた多様な生物が集まってくるのだろうと考えることができる。個々の家だけではなく街づくりにも必要な発想なのだと感じた。ここ数年の新築着工戸数の減少傾向にはなかなか歯止めが掛からない中で、リフォームやリガーデンは、それなりに調子がいいと聞く。そんな時「5本の樹」の発想を是非、採り入れてほしいと思う。そして、住む人には「オリーブ」「ハナミズキ」「ブルーベリー」といった異国の生まれの素敵な樹木に心ときめく気持ちをぐっとおさえて、日本古来の素敵な樹木を選んでほしいものです。

「桜」「椿」「山茶花」「ツツジ」「ヤマボウシ」「ソヨゴ」「コナラ」「イロハモミジ」「ヤマブキ」etc…。ちょっと思いつくだけでもこんなに!

専務取締役 大島秀紀

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